ワカメ

淡路島の豊富な食材たち

海歯ごたえ抜群、渦潮が育てた
淡路島のワカメ

 淡路島のワカメは、色が鮮やかで、柔らかさの中にもこしがあるワカメです。中でも、鳴門海峡の豊富な栄養分と潮流により育まれたワカメは、「鳴門わかめ」と呼ばれて有名です。昭和60年代に、南あわじ市を中心に約1万トンの生産量を誇り、全国でも有数のわかめ生産地として成長し、現在は南浦を中心に養殖されています。3月頃には、収穫したわかめをそのまま干す「素干しわかめ」や、灰をまぶした阿那賀特産の「灰干しわかめ」、一番一般的な茹でて塩をまぶして保存を利かす「湯通し塩蔵わかめ」等の加工風景が見られ、季節を感じさせます。早い時期のワカメは柔らかく、遅い時期のワカメはしっかりとしていますので、収穫時期により違った食感を楽しめます。

ワカメの養殖方法と進化

 97%が養殖のワカメは、秋から冬にかけて成長し、春に成熟し、子孫を残すために遊走子という胞子を放出し、夏には枯れてしまいワカメは1年で一生を終えます。

 ワカメの養殖方法は、細いヒモ(種糸)に種となる遊走子を付着させて、海や陸上水槽などでワカメの芽が2~3センチ以上の大きさまで成長させた後に、沖で育てて、ハサミで切ってロープのよりのところに差し込んで(11月頃)、ロープを海中に張って大きくなるまで育てていきます。

 わかめを植えてあるロープがたるまないように、ほぼ毎日ロープをチェックします。

 水面近くにわかめを泳がすことで、太陽の光をおもいっきり浴びさせ、肉厚でコシのあるわかめに育てます。収穫は早春の2月から、東北や北海道では4月まで収穫されます。

 水揚げされたワカメは、一般的に湯通しして冷水洗いされた後、水切りし塩漬けされ、さらにその後、芯抜き(中心の芯を抜いて葉脈だけにする)や先枯れなどの劣化部分を除去したり、脱水、等級分けなどの選別をした上で製品となります。これがスーパーなどでもよく見かける塩蔵ワカメです。

 日本有数のワカメ養殖産地(県のワカメ生産量の8割以上)、兵庫県・南あわじ漁業協同組合の丸山地区(養殖ロープが延べ約450㎞)では、もともと天然のわかめが穫れていて、その味の良さから、冬場の内職として養殖が定着して繫栄しましたが、2010年頃から温暖化の影響等による種苗不足を受けて苦戦し、2016年から現在に至るまで、漁業者がみずから顕微鏡を使った種苗の人工培養に取り組んでいます。先進技術が研究室を飛び出し、現場で活かされるまでには、漁業者と研究者の熱意、地域のサポートがありました。種苗の安定供給をめざして始まった挑戦は、新たなブランド化へとつながっています。

 また、昔は汚かった瀬戸内海が、長年の努力で漁港内でもものすごい透明度がよくなってキレイな海になったのですが、その反面、プランクトンの発生率の少ない栄養度のない海になったことも、大きな障害になりました。河川やため池の土砂が流入しないことも原因です。10年くらい前から『キレイな海』から『豊かな海』を作る活動を始めています。

 時代とともに、養殖方法も人々の努力でどんどん変化しています。

おいしさの秘密

 特に南浦地区の養殖のワカメは、鳴門海峡の近海ということで、潮の流れが速いところで、北西の風に煽られて肉厚で歯ごたえのあるわかめに成長するのが特徴です。

おいしさの特徴

 海水はもちろん、海中の地面などの影響も受け、南浦地区の場合は、砂地から砂利もあって、沖合に出たら泥になりますが、特に砂地の辺りのわかめがおいしいと言われます。

 美味しさの特徴は、何と言っても歯ごたえで、鳴門産は特に歯ごたえがあり、三陸産などは肉厚だけど柔らかいので、鳴門産とは全く違います。東京以北の人は三陸産わかめが喜ばれるみたいですが、淡路島の人からすると、「こんなのワカメじゃない」というほど違いがあります。

おすすめ・旬の時期

 2月中旬~4月上旬が旬になります。湯通し塩蔵わかめは、冷凍しても風味や食感が変わらないという特徴があるので、買ったら即湯通し&即冷凍保存することで、いつでも美味しく召し上がっていただけます。

効能

ヨウ素 ヨウ素は海水中に多く存在するためわかめにも多く含まれています。基礎代謝の促進だけでなく、子どもの成長や大人の脳の働き維持にも重要です。
ナトリウム わかめに含まれるナトリウムは、海藻類の中ではトップです。人体に必要なミネラルの一種で体内の機能や血圧を調整する働きがあります。
カルシウム 私たちの身体に最も多く存在するミネラルで、骨や歯を作る働きとなる他にストレスを和らげることや血が固まるのをサポートすることにも関与しています。
マグネシウム 血管を拡張させ血圧を下げる効果や、骨においてもマグネシウムが合わさることで柔軟性が加わり、しなやかで丈夫になります。また、水分を引き込む作用もあるため、便が柔らかくなり便秘解消に役立ちます。
リン 骨や歯の正常な発達に必要なミネラルで、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとして骨や歯を構成しています。

おすすめのグルメ

いろんなレシピで誰もが食べているワカメですが、あまり知られていないレシピをご紹介。ワカメを細く割いていってラーメンとかそばに入れたら、もう麺を食べるよりおいしいんです。コリコリして最高にうまい!ラーメンの中華だしによく合います。インスタントラーメンなんかでも合うから、是非試してみてください。