ノリ

淡路島の豊富な食材たち

冬の海に育まれた 香り高い「淡路島のノリ」

 昔からノリは食卓に欠かせない食品として親しまれ、周辺を海で囲まれている淡路島ではノリの養殖が盛んで、毎年9月中旬から海苔養殖が始まり、翌年5月中旬まで行われます。 淡路島のノリは、香りがよく、旨味が多くパリッとしているうえに破れにくく、おにぎり用のノリとして人気があります。四方を海に囲まれた淡路島は、海苔の養殖に適していて、海苔の養殖では全国2位の生産高となっています。
浮き流し方式養殖
明石海峡は潮の流れが速いのが特徴で、淡路島のノリ養殖は、一般的な「ひび立て(*)」ではなく、水面にノリ網を浮かして養殖する「浮き流し方式」という養殖方法がとられています。 毎年9月ごろから海苔の胞子を植え付ける種付けが行われ、種付け後は作業場の海水に浸して定着させたあと養殖場に移されます。 海苔は毎年、種付けされた同じ網から何度も収穫されます。海苔にも旬があって、12月に最初に収穫される上質な新芽のものが「一番摘み」と呼ばれ、上品な柔らかさと香り高い味わいで特別な美味しい海苔といわれています。

*ひび立て ・・・ 竹、細い木の枝、網、すだれなどを浅海に設置して養殖する方法

おいしさの秘密・特徴

海苔は昆布などに含まれるグルタミン酸、鰹節などに含まれるイノシン酸、干しいたけなどに含まれるグアニル酸の“三大うま味成分”をすべて含みます。海苔は上質な合わせ出し汁のごとく、うま味の相乗効果によって強い美味しさを感じる事ができます。そのまま食べてもよし、料理のトッピングにもよし、海苔は極上の「うま味食材」です。 また、ビタミンAやビタミンB12などのビタミン群、カルシウムや鉄分、葉酸など海苔は様々な栄養素をバランスよく含んだ栄養食品です。しかも100g当たりでいうと、ビタミンCは野菜や果物にも匹敵し、食物繊維はごぼうの7倍も含まれていて、栄養が豊富で、非常に低カロリーな食品です。

ノリができるまで

①養殖場の基礎作り

海苔の養殖は土台作りから始まります。淡路の漁師は10月になると海苔を育てる網を張るための基礎を海中に作ります。 淡路島の海苔は、海底に錨(いかり)を沈めて固定し、ロープと浮きで海面に網を浮遊させる「浮き流し式養殖」で育てます。海苔漁には専用の小さな船が使われますが、なかでもひときわ目を引くのは、年季の入った大きな錨です。この錨を海に沈めロープを張り、海に養殖場を設営します。 基礎が完成すると、次は海苔を育てる網を設置します。海中の気温が下がってくる10月末から11月初め頃に、海苔の胞子が付けられた網を漁場に張っていきます。海苔は水温が高いとうまく育たないので、海水温が23℃以下になったタイミングを見計らって網を張る作業が行われます。

②海苔の苗を育てる

網の長さは1枚が20mで縦4列に並べて1筋を作ります。それを30筋並べて1面となり、同じものを4面作ります。全部で20mの網が480枚も張られることになります。 網を張り終えた翌日からは、毎日「乾湿」という作業を行います。「乾湿」とは、海に沈めてある網を海上に持ち上げて乾かす作業のことです。 自然の海苔は潮間帯(干潮の水面と満潮の水面の間)に生えていて、潮の満ち引きで自然と海苔が海上に出たり、海中に沈んだりしながら大きく育ちます。養殖の場合は、漁師が自らの手で、480枚もの海苔網一つ一つをこの「乾湿」という作業を行い、海苔を育てるのです。 朝6時頃に網を上げ、1~2時間ほどそのままにしておきます。風の強弱など天候によって乾湿時間は異なりますが、全体的に乾いてきたらまた海に沈めます。この作業は、海が荒れてさえいなければ毎日行います。こうして乾かすことで、海苔以外の藻が除去されて強い海苔に育つといわれています。 網に付いている胞子はで発芽し、1週間ほどで肉眼で見えるくらいの大きさに成長します。さらに3日ほど経つと、細胞の一部が分離して、近くの網に付いて、またそこから新しい芽が出て、このように海苔は無性的に増えて、どんどん成長していきます。この育苗期こそ海苔の成長の中で一番大事な時期で、このときの良し悪しで海苔の出来がきまるといっても過言ではありません。 乾湿を始めて14日から20日ほど経過したら、一旦全ての網は引き上げられ、-25℃の冷凍庫に保存されます。これは、近年の瀬戸内海は11月半ばでも昔と比べて海水温が高いため、育苗の成長に必要な16℃以下に下がるまで保存しておくためです。
(出典元:PR,JAPAN)
海苔の収穫作業(出典元:PR,JAPAN)

③「本張り」で大きく育てる

11月後半、冷凍していた網をまた海の漁場へ持っていき「本張り」を行います。海苔を大きく強く育てていくために、週1回ほど海苔に栄養剤を含んだ殺菌を行います。自然食品に含まれるクエン酸やリンゴ酸を主成分とする酸性溶液を海苔に与えることで、病気を防ぎます。殺菌には「もぐり船」と呼ばれる海苔漁専用の船を使います。その名の通り船を網の下に潜らせて、進水しながら作業していきます。 冷たい冬の海の中、本張りから約20日で海苔は長く大きく成長し、いよいよ収穫時期を迎えます。
乾湿作業(出典元:PR,JAPAN)
乾湿作業(出典元:PR,JAPAN)

④収穫は暗いうちから

海苔の収穫は早朝の暗いうちから行われます。海苔の収穫も網の下に船を潜らせて、船に搭載している摘採機で刈り取っていきます。早朝から収穫する理由は、海苔が光合成を始める前のまだ暗い時間帯が、一番その身に栄養を蓄えているからなのです。日中になってしまうと光合成を行い細胞中の養分を消費してしまうからなのです。 収穫された海苔は、船から工場まで繋がるホースを通ってポンプで吸い上げられ、工場の撹拌機に集められます。船一艘いっぱいの収穫で、約4万枚の海苔が出来上がります。 収穫後の海苔網に殺菌をして、また次の海苔を育てます。海苔は刈り取った後からすぐに大きく成長します。1週間から10日後にはまた刈り取って、それを4、5回繰り返します。

⑤海苔の加工

工場に集められた海苔には、海藻など不要なものが付着しているため、まずはきれいに洗ってゴミを取り除きます。洗い終わった海苔は機械で細かく刻まれ、熟成されます。海苔はその時々で水分の含有量が異なるため、定期的に海苔を乾燥機にかけて重量を計測し、均一になるよう調整されます。 調整された海苔は、和紙のように簾(す)の上に四角形に抄き上げられ、そのまま脱水、乾燥した後に、簾からはがされて板海苔ができ上がります。でき上がった海苔は破れたり穴があるものを取り除いて、さらに目視で検品されます。10枚分(1帖)を10帖重ねて1束にして完成です。 全ての加工が終わるまでに約3日。この間、機械を24時間稼働させて、漁師は交代で加工作業を行います。海苔の収穫期は12月末から3月にかけて行われ、その間漁師は早朝から海苔を収穫しては、3日間交代での加工作業を繰り返します。こうして淡路島の海苔は出荷され、店に並び私たちの手元に届けられます。
(出典元:PR,JAPAN)
(出典元:PR,JAPAN)

おすすめ・旬の時期

6月~8月 海苔は店に行けば一年中売られているが、実は海苔の旬は冬。冷たい海の波にもまれて育ち、なかでも12月に最初に収穫される新芽「一番摘み」が一番おいしく海苔を味わうことができます。