有限会社 金山製麺

金山 守良さん

Interview

インタビュー

”食の宝庫”淡路島を支える生産者たちの
熱い想いをご紹介します。

先祖が淡路島に持ち帰った
手延べそうめんの製法を守り続けて

有限会社 金山製麺 金山 守良さん


淡路島の南端に位置する南あわじ市・福良は、古くから漁師の町として栄えてきました。福良の漁師たちが、海に出ることができない冬の副業として始めたのがそうめんづくり。海からの程よい潮風と降水量が少ない淡路島の気候風土が、そうめんづくりに適していたようです。

淡路島の手延べそうめんの礎を築いたのは、1865年に創業した金山製麺です。「私の先祖がお伊勢参りの帰りに奈良に立ち寄り、『三輪そうめん』の作り方を2年間修業して学んだそうです。その技術を淡路島に伝えたことが、南あわじでそうめんが作られるようになったきっかけだと聞いています」と話すのは、六代目である金山守良さん。現在でもその製法を守り続けています。

淡路島の気候風土が育む、コシのあるそうめん

淡路島の手延べそうめんは、全14工程を約2日間かけて丁寧に作られます。機械を取り入れている部分もありますが、金山製麺では特に伝統的な手作業での製法を大切にしています。例えば、生地3本を1本に合わせる「三本合わせ」は、機械と同時に手作業でも細かく調整を行います。「『三本の矢』という言葉もあるように、生地をしっかり合わせることで、層が増してコシに繋がるんです」。

その特徴は強いコシと細い麺。一般的なそうめんは中力粉のみが使われますが、強力粉をブレンドしています。金山製麺では、明治時代から販売され100年経った現在でも出荷量がナンバーワンの銘柄である「御陵糸」(麺の太さ:0.7〜0.8ミリ)を中心に、2009年に開発された「淡路島ぬーどる」(麺の太さ:2.0〜2.2ミリ)など、複数の銘柄の製造を行います。

「手延べそうめんの製法を活かし、新しい麺を作ろうというプロジェクトから、2009年に『淡路島ぬーどる』がうまれました。そうめんの進化系というイメージで、和洋中問わずさまざまな調理方法を楽しんでいただけると思います。麺が太めなので、濃いめの味付けがおすすめですよ」



製麺体験を通して、ものづくりの楽しさを感じてほしい

金山さんは自動車整備士として働いたあと、約18年前に実家である金山製麺で働き始めました。「忙しい時期は深夜2時に起きて作業をすることもありますが、元々ものづくりが好きなので、やってみて面白いことが多いですね。作業工程も同じことばかりではないので、苦ではありませんよ。何より自分の作ったそうめんを食べて喜んでいただけることがやりがいになっていますね」。

今後は製麺体験の受け入れを増やしていきたいという夢も。「期間は限定されますが、実際に現場を見ていただき、楽しんで学んでいただければと思っています」。



綿々と伝承されてきた手延べそうめん文化を未来へ

手作業がメインとなるため、生産量を増やすには人手が不可欠です。しかし、全盛期は100軒以上あった製麺所も、今では12軒と減ってしまい、担い手が不足している現状に……。

「産業として淡路島そうめんを存続していくためには、手作業の良い面を残しながら、機械化、労働時間や業務サイクルの改善などを変えていく時期に差し掛かっていると思います。そうめんづくりを魅力のある仕事にしていきたいです」。約170年前から伝承されてきた淡路島手延べそうめんの歴史を、未来へと紡いでいく金山さんの挑戦はこれからも続きます。